だってさ、ほら。空は灰色をしているから。

『はい』
「イギリス? 元気かい?」
『……何の用だよ』
「いや、ちょっとね。で、元気?」
『まぁ、な。お前はどうしてる』
「家にいるよ。あー空が曇ってて、誰かさんとこみたいでちょっと憂鬱かなぁ」
『おい、どういう意味だ』
「そういう意味だよ。そっちはどう? 晴れてる?」
『いや、曇ってる。珍しいな』
「何を言ってるんだい。いつもじゃないか」
『あ、でも裂け目から光が漏れてて綺麗だ』
「それ、こっちでも見えてるぞ」
『だろうな』
「え?」
『ん?』
「君……いや、うん」
『何だよ』
「君、今どこにいるの?」
『さぁな』
「……ロンドンは今、真夜中だよね?」
『そうだろうな、確か』
「確か、って……君」
『せっかくここまで来ても曇りなんてな』
「今どこにいるんだい?」

「『ピンポーン』」

『客だろ、出なくていいのか?』
「……まさか」

バタバタバタ
ガチャリ ギィィィィィ

『「で、電話の用件は?」』

君が思い浮かんでしまったんだよ。