くつを、と上擦った声が聞こえて日本は振り返った。 「やっぱり靴を脱ぐのか?」 言った本人の頬は赤くなっていて、純粋にどうしたのだろう、と思った。 「ええ。わたしのとこではそうなんですよ」 イギリスはそうか、と言って自分の足元を見る。 そして、ふはぁ、と大きく息を、ため息ではなく気合を入れるときのように吐いた。 「どうされました?」 「いや、……なんでもない」 それでも頬は赤いままだ。慣れてないからだろうか、と適当に理由付けをする。 かわいらしい、と思って日本はこっそりと微笑した。 彼は後ろを向いて玄関先に座り、靴紐をほどき始めた。きつく締められたそれが白い指にそって緩んでいく。 「日本は」 ほどきながらイギリスは聞いた。 「その、人前で靴を脱ぐことに、抵抗は無いのか?」 「いえ、特に」 やっぱり彼は抵抗があるのだ、とその質問で感じた。 今度から家に招くよりもどこか外で会った方がいいかもしれない。 「なら、そう……うーん。いや、いい」 日本は首をかしげながらも、立ち上がったイギリスに、こちらです、と庭に面した部屋へ案内した。 廊下には、靴下で歩くやわらかい足音がたっている。 その後の話。 「前、イギリスさんがすっごく靴を脱ぐのを躊躇われたのですけど、ドイツさんもお嫌ですか」 「こっちではベッドルームくらいでしか普通脱がないからな……」 |
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 英国人にとって素足は恥部ってのを本で読んで。(中国人もそうらしいですね 素足を晒す=寝室での行為 ってくらい強烈なものらしいです。 この話では靴下履いてますがね! |